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インテで出す予定の学パロ西ロマの冒頭部分
こんな感じ…?で、間に合うかなー;;;;



+ + + + + + + + + +

「にいちゃーんっ起きてるー?転校初日に遅刻しちゃうよー?」
明るい弟の声で目を覚ましたロマーノは、ベッドから起き上がると溜息をついた。
(またあの夢だ…)
幼い頃の初恋の苦い記憶を何度も夢で再生しては目覚めて更なる後悔をする。
あの後…――――――スペインとは更に気まずくなって口も利かないままに
祖父に連れられ外国へ渡り、それっきりだ。
せめて弟のように素直であったなら。…いや、どちらにしろアイツは俺のことなんて
どうせたくさんいた幼馴染の一人にすぎないだろう。
身支度を整えながら捨てられなかった指輪を鎖に通してネックレスにしたものを身に着け、
最後に黒縁の眼鏡をかけると部屋を出た。
どうせ、この指輪だって弟とかベルギーとかにも同じようなの渡してたみたいだしな。
自分だけ特別になった気がして自惚れていた。
本気にして後で笑うつもりだったんだ。なんて野郎だ。
…それでも後生大事に持ってる俺はきっと馬鹿なんだろう。
ロマーノは自嘲の笑みを浮かべると弟の作った朝食が並ぶ食卓についた。

外国へと渡って数年後、再びこの街に帰ってきた俺たちは
W学園高等部に転校生としてやってきた。
クラスの中には見知ったヤツもいて、弟の方は懐かしいと再会を喜んでいたが、
俺は帰ってきたくなかった。昔の自分を知っている連中なんか会いたくもないからだ。
『転校生』ってだけでも無意味に目立つのだから堪ったものではない。
こういう時、眼鏡は便利だ。顔を少しでも隠すことが出来るから。
関わりたくないし、構われたくもない。そういう雰囲気が滲み出ているのか、
最初は声をかけてきた奴らも近寄ってこなくなった。
(清々した)
早くもこの学校に馴染んでいる弟に背を向け、一人で学校の図書館へと向かった。
この学園の見取り図は去年ここを卒業したオランダから事前にもらっていたから
初めての場所でも迷わず辿りつける事が出来た。見取り図は正確な上に詳しくて
流石だなと思わず笑みが零れた。
オランダとこの学園の近くの女子高に通うベルギーとは放課後会う約束をしている。
この二人の兄妹とは外国へ行っても連絡を取り合っていた俺の数少ない友人で幼馴染だ。
不器用で口の悪い俺でも受け入れてくれるから二人と一緒にいるのは好きだ。
居心地が良いからつい甘えてしまうのだが…――――――。
中庭を抜け、北校舎の脇を通り抜けるとひっそりと佇む円柱型で三階建ての
建物が見えてきた。
あまり人目につかない場所にあるがここが図書館らしい。
ロマーノはガラス戸を開いて中に足を踏み入れた。
一階入り口付近に貸し出し、返却用の窓口と司書室、
新刊の並ぶ書棚、それに閲覧用の長机と椅子が並んでいて
吹き抜けになっている二階部分から上がずらりと書棚となっているようだ。
しんと静まり返っていてまるで誰もいないようだが、
床や本棚などまめに清掃されているのか埃は一つも溜まっていない。
大きな窓からは外の明るい日差しが入り、暖かい。
二階部分に足を向けると本棚も種類ごとに細かく分類されているのに
きちんと整理されているのが見て取れて関心した。
公共施設の図書館は結構アバウトだったり乱雑なところもあるというのに、
ここはそうではないらしい。
それどころか三階部分の本棚の本は閲覧は出来るが貸出し用ではないという蔵書や
初版本など珍しいものが多くて凄い。
これなら在学中楽しめそうだなとわくわくした。
浮き足立って三階部分の本棚の間をゆっくりと見て回っていたロマーノは
足元にまるで気をつけていなかった。
一番奥の本棚に差し掛かった時だ。急に何かに躓いてそのまま倒れこんだ。
「ってぇ…」
強かに打ちつけた体が痛むが何とか自力で身を起こして振り返った。
(畜生、一体何に躓いて…――――――)
「ごめん、大丈夫?」
まさかここに人が来るとは思わなかった。
そう言いながらロマーノが転んだ原因を作った男は心配そうに眉を下げながら
手を差し出してきた。
ロマーノはその男の顔を見て呆然とした。
癖のある濃茶の髪に褐色の肌、独特のイントネーションの口調、
そして何よりペリドットの宝石のようにキラキラと美しく光る瞳は見覚えがありすぎた。
(う、そ…だろ――――――スペイン!?)
ずれた眼鏡をそのままに呆けたように座り込んだままのロマーノにスペインは首を傾げた。
「ん?どないしたん?どっか痛い?…ちゅーか、お前…もしかして、ろ」
「――――――!」
ロマーノは慌てて眼鏡を直し勢い良く立ち上がるとスペインの横をすり抜け
止める間もなく走り去ってしまった。
(スペインだ!)
(スペインだ!)
(スペインだった!)
来た道を戻りながら走っているせいだけではない、激しい動悸と頬の紅潮を感じ、
訳の分からない何とも形容しがたい感情に動揺を隠せなかった。
中庭に差し掛かったところで足を止めた。
そっと後ろを振り返るがそこに彼の姿がないことに安堵し、残念に思う矛盾した感情を
追い払うように大きく息をついた。
(スペイン…)
胸元にある指輪をシャツ越しにそっと握った。
掛けられた声がいつまでも耳に残り、離れなかった。
会いたくなくて、でも逢いたかった人。
気付かれただろうか。俺がロマーノだと。
…いや、でも俺なんかのこと覚えてるわけないか。
めちゃくちゃ不審な態度取ってしまったなと後悔した。
逃げたくないのにどうしても彼を見ると逃げ腰になってしまうのだ。
(でもまぁいっか)
どうせもう関わることなんてないだろう。
ただ遠くからなら見ていてもいいだろうか。
「未練がましいよなぁ、俺…」
ポツリと一人呟きながら教室へと戻るべく歩き出した。

一方一人残されたスペインは図書室の窓から走り去る後姿を見送り、ふと笑みを浮かべた。
その後姿が昔の彼の姿を重なり、『やっぱりロマーノや』と呟いた。
チョコレート色の髪に特徴的なくるんとした癖毛、綺麗なオリーブ色の瞳。
大き目の黒縁眼鏡のせいで印象が随分変わってしまっていたが、
その整った顔立ちは昔と変わらず綺麗な子だ。
帰ってくると聞いていたけれど、まさかこんな形で再会するとは思っていなかったが、
それもまぁいいかなと思った。
これからは毎日会えるのだ。もう遠慮なんてしない。全力で彼を奪いに行く。
「楽しみやんなぁ…」
零れた笑みはそれはそれは愉しそうで、彼を良く知る悪友なら
『何企んでる?』といいそうなものだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
去年6月に出した「放課後、キミとヒメゴト。」とタイトル似てるけど
全く関連性はありません。(笑)
学パロでシチュが似通ってしまったために自虐の意味で『放課後』つけましたww
 
 
 

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西ロマ早く結婚しろ!が口癖。現在APHにドップリ嵌っています。ロマーノは俺の嫁。
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