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再録本は既に入稿済みなので何もなければ当日これだけは机にあるかと。
続きに書き下ろしの「Bitter nero-side R-」のサンプル
もう1冊の方入稿できたらまたぴくしぶにサンプルとお品書き載せますね
ちなみに再録本のP数は108Pです。煩悩の数(笑)

+ + + + + + + + + +
コツン、と扉の外で靴音が響く。
そしてかちゃかちゃという金属音が続き、カチャリと扉が開かれた。

 「おはようさん、ロマーノ」

入ってきたスペインはロマーノの寝ているベッドに近づき、顔を覗き込んだ。
怠慢な動作でゆるりと目を合わせると、スペインは緩く笑うと唇に触れた。

 「朝ごはんの前に、風呂入ろか」

スペインは軽々とロマーノを抱き上げて部屋を出て階段を上がり、
たっぷりと湯の張った湯船にロマーノを浸からせた。

適度な温度の湯にほっと息を吐くと、スペインはそんなロマーノの頭を撫で、
甲斐甲斐しく身体を洗い、清めてふんわりと陽の香りのするタオルで身体を拭い、
服を着せるとダイニングにロマーノを連れて行った。
席に着くと朝食に用意したチュロスが出された。
一緒にチョコラーテを添えるのも忘れない。変わらない朝のメニューだ。

「…水、」

 掠れた声でそう言うとスペインは頷いて水の入ったグラスを差し出した。
それを無言で受け取り、口に含んだ。その後チュロスに齧り付いた。いつもと変わらない味だ。

「うまい?」

「…そこそこ、な」

そうかと笑うスペインはどこか空々しい。きっと、スペインももう気付いている。
俺が伝えたいこと。ちゃんとスペインに言わないと、な。

スペインが誰を好きでも、俺はずっとスペインが好きだから、と。

スペインがどんな顔をして何を言われるか大体想像はつくが、
それでも…嫌わないでいてくれるといい。

「スペイン、俺…――――――そろそろ帰りてぇんだけど、」

口にした瞬間、スペインの表情が強張り、すっと目が眇められる。

思わず視線を逸らしたくなったが、もう逃げるのはやめないと、と
その視線を真っ直ぐ受け止める。震えそうになる唇で、努めて静かに言葉を紡ぐ。

「俺…言ったよな?お前の求めてるもんにはなれないって。
だって、それは…俺じゃなくて別のヤツなんだから」

バン、とスペインはテーブルに両手を叩き付けて立ち上がった。

「…なん、それ。はっきり言いや。俺なんかもう好きやないんやって!
そういうことなんやろ!?でもな、もうそんなんどうでもえぇねん。
お前がどう思ってようが、逃がさんよ。諦めぇ」

スペインは歪に笑う。
似合わないな、とロマーノは頭の端で思い、
歪な関係に縋った過去の自分を恥じて、目を伏せた。

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花景
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自己紹介:
西ロマ早く結婚しろ!が口癖。現在APHにドップリ嵌っています。ロマーノは俺の嫁。
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