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二幕まで書けたので少し浮上してきました。
えぇ、まだ半分も書けていませんが…wwwww終わる気がしない。
現時点で40P近くあるので、これは……まさかの100Pいくかもしれないカンジですか。
でも〆切まで後一ヶ月あるかないか?で半分も出来てないとか…。
死ぬ気で頑張るしか…ない。





続きに冒頭部分こんなだよっていうの、置いていきます。
只今第3幕を書いてるところです。悪友のターン。
仏兄書くのは楽しいです。(普は…?)


+ + + + + + + + + +




煌くシャンデリア、目映いばかりの舞踏会場。
色とりどりの豪奢なドレスを纏った美しい貴婦人。
それをエスコートする紳士達。
その会場に流れる静かなクラシック音楽は、
煌びやかな世界を彩っていた。

その会場で、一人壁際でグラスを傾けていたアントーニョに、
ローデリヒは声をかけた。

「つまらなそうですね。」
「…当たり前やろ。やっぱり慣れへんわ、こういうの。」
「お馬鹿さんが。…これも貴族の仕事ですよ。」

ローデリヒの小言は聞き飽きた。
アントーニョは肩を竦めて、グラスのワインを煽った。

やって、しゃーないやん?
確かに美しく着飾った貴婦人は目の保養や。
俺も男や。綺麗な姉ちゃんは大好きや。
けどなー、なんや畏まったような礼儀作法とか。
兎に角、堅苦しいのは……やっぱ、苦手やわ。


そう思っていると、会場の照明が落ち、薄暗くなり、周囲がざわめいた。
なんや、停電か?と思ったら中央の階段の踊り場にのみライトが当てられた。
横にいたローデリヒが、薄く微笑んだ。

「なんやの?」
「いいから黙って見ていなさい。」

言われるままにそちらに目を遣ると、オーケストラが再び演奏を始めた。
いつの間にか中央階段の踊り場にはドレスを纏った人物が二人、立っていた。
よく見ると、二人は似通った容姿をしており、どうやら姉妹のようであった。

真白い薔薇のようなドレスを纏ったフェリシアーノが高らかに歌い始める。
まるで天使のようなフェリシアーノの声は、周囲の人を一瞬にして虜にしてしまった。
そして赤い薔薇のようなドレスを纏ったロヴィーノが、すっと顔を上げる。
一瞬、アントーニョと目がかち合ったように思えた。

(…え?)

その時、アントーニョの胸がざわめいた。

(なん…や…?今の…)

ロヴィーノは微かに目を伏せると、フェリシアーノの声よりも僅かに低く、
けれど美しい声で歌い始める。
天使のように清純なフェリシアーノの声と、色っぽく艶やかな美しいロヴィーノの声は
見事に調和し、更に美しく会場に響く。
その歌声に、舞踏会に来ていた全員が魅了されたに違いない。
あれだけざわめいていた人々の声も、今はしんと静まり返り、
誰の目も、美しい歌姫の声に耳を傾けた。


「…やはり、いつ聴いても彼らの歌は素晴らしい。」

ローデリヒはぽつりと呟いた。
(…ですが、やはりあの子は弟を気にするあまり、声に明るさがない。)


「なぁ、ローデ!あれ誰?二人ともめっちゃ別嬪さんやなぁ!」
「…まぁ、見る分にはそうでしょうね。」
「なぁなぁ、教えてやー。」

アントーニョは目を歌姫に向けたまま、出来るだけ小声でそういい募る。
まるで天使か、妖精のような二人に、アントーニョの瞳は輝く。
会場の貴婦人たちも確かに美しく、綺麗な女ばかりだったが…。
二人はそれよりも、どこか非現実的な。
もしくは、まるで神が作り出した人形のような。
どこか浮世じみた雰囲気が、中性的な美しさを醸し出していた。
元々可愛いものが好きな男だ。
人目で“彼ら”を気に入ったらしい。
ローデリヒはその様子に、小さく溜息をついた。

「貴方も聞いたことがあるでしょう。『歌姫姉妹』の噂を」
「『歌姫姉妹』……あぁ、あのその歌声聴いたやつは幸せになれるっちゅーやつやろ?
あの子らがそうなん??へぇ、後で紹介してや~」

そこでローデリヒは、隣にいるアントーニョを見た。
視線に気付いて、アントーニョはそちらに視線を向けた。
ローデリヒは、ふむ。と、暫し考えた。

(この男なら、もしかしたら……。)

「…わかりました。いいでしょう、後で二人を紹介しましょう」
「ほんま?やー流石、お貴族様!おおきに♪」

本気で嬉しそうなアントーニョに呆れつつ、思う。

(さて、事態が好転するか。それとも…―――――)

 

***

 

二人が歌い終わると、ロヴィーノたちを盛大な拍手が包み込む。
それに僅かに頭を下げて、ロヴィーノは重く息を吐き出す。
隣のフェリシアーノは、笑顔で舞踏会の客に手を振って答えていた。
二人で階段を下りると、早速何人かの男たちが声をかけてくる。
『素晴らしかった』だの、『感動した』だの。
それにフェリシアーノが微笑みながら『ありがとうございます』と返す。
ロヴィーノはそれを横目で見ながら、また溜息をついた。

いい加減、うんざりだ。
俺が欲しいのは、そんな言葉じゃない。
そしてその言葉たちは、俺に向けられたものじゃない。
ロヴィーノは客たちの相手をフェリシアーノに任せ、人々の輪から抜け出した。
そしてこっそりと会場から出て行った。

 

フェリシアーノは、いつの間にか兄がいなくなっていることに気が付いた。

(兄ちゃん?)

最近はいつもこうなので、慌てることもないけれど…。
だけどいつも不安になる。
このまま、自分の元に戻ってきてくれないかもしれない、と…。
「フェリシアーノ、こちらへ。」
声に振り返ると、ローデリヒだった。
そのことに少し安堵して、ドレスの裾を踏まないように気をつけながら近づく。
と、隣に見慣れない男がいた。
黒に近い茶髪にオリーブ色の目と、褐色の肌。
…外国からきたのだろうか。

「ローデリヒさん、お招きありがとうであります!」
「…言葉遣いがおかしいですよ、このお馬鹿さんが。」
「ヴェー…。ごめんなさい。」

じろと睨まれると、とても怖い。
素直に謝っておくと、ローデリヒは仕方ないなと少々呆れられた。

「フェリシアーノ、こちらはアントーニョ・フェルナンデス・カリエド。私の友人です。
アントーニョ、この子はフェリシアーノ・ヴァルガス。兄の方はロヴィーノといいますが…」

その言葉にその男…アントーニョを見れば、
にこっとまるで太陽のような眩しい笑顔を向けられた。
こういう世界にいる人とは思えない、優しい笑みだった。
だから、俺も素直に笑い返すことが出来た。

「初めまして、フェリシアーノです。」
「うわ~近くで見てもホンマ、めっちゃかわえぇ!」
「…ところで、ロヴィーノはどうしました?」
「あ、そうだ!兄ちゃんいつの間にかいなくなってて…。」
「またですか。」
やれやれとばかりにローデリヒは額に手を当てた。
兄ちゃんは、こういう場がとても苦手らしい。
…かくいう俺も、そんなに好きじゃないんだけど…。
「…はぐれたん?」
「う、ん…えっと…というか…。」
「やったら、俺が探してくるよって。」
にこと人のいい笑みを浮かべたアントーニョは、フェリの返事も聞かずにさっさと踵を返し、
人込みの中へと消えていった。

ちょっと心配で、隣のローデリヒを見ると、目が合った。
「…大丈夫ですよ。彼はそんなつもりはないと思いますから。」
「……うん。」
ローデリヒがそういうなら任せても大丈夫なのだろう。
少々性質が悪い人物に関わってしまった経験から、兄に対して必要以上に心配をしてしまうのだ。

あの人が、兄の心まで深く傷つけることがないといいな…。
フェリシアーノはそう願いながら、アントーニョが消えた先を見詰めた。


***


「おらへんなぁ~…。」

まいったなぁ…。あんな綺麗な子がおったら、皆放っておかんやろし、
目立つやろから見つけ易いかと思ったけど…。
考えが甘かったのだろうか。と、アントーニョは溜息をついた。
もしかしたら、もうこの会場にはいないのかもしれない。

(外に出てしもとったら、探しようがないわなー…)

そう思って、とりあえず戻ろうかと思った時だった。
中庭に出る扉が僅かに開いているのに気が付いた。
少し逡巡した後、自分のカンを信じてそこから外へ出た。

外に出ると、会場内よりも冷えた夜の空気が日照った頬を冷ましてくれた。
流石エーデルシュタインという冪か。
中庭も手入れが行き届いており、昼間であれば、花も綺麗に咲き誇っていることだろう。

(…って、関心しとる場合やなかったわー)

石造りの階段を下りようとすると………一番下の段に人影があった。
夜目でも分かる。見忘れるわけもない。
あの歌姫が着ていた赤いドレス。
階段に座り込んだ後姿は剥き出しの肩が細く、頼りなげでそして…。

(………なんや、めっちゃ寂しそうや…―――――)

カツン。カツンと、階段を下りていく。
歌姫は微動だにせず、膝に顔を埋めたままだ。
まさか、眠っているのだろうか。
(まさか、なー…)

「そんなとこに座っとったら、風邪ひいてまうで?」
最初に出てきたのは、そんな言葉だった。
もっと何か、気の聞いた台詞のひとつでも言えればよかったかもしれないが…。
生憎と、堅苦しい挨拶も、空気を読むのも苦手なのだった。

…さて、歌姫の方はというと、そんなアントーニョの声にさえ、無反応だった。
まさか本当に寝こけているわけではあるまい。
アントーニョはそれでも、言葉を探した。

「…ちょっと風冷たいけど、綺麗な庭やねぇ。
んーでも、俺としてはもうちょい赤が欲しいところや。
あ。月も星も綺麗やー……けど、さっき歌っとった君の方が綺麗やったな~。
皆、二人の歌に聴き入ってたで~。あ、もちろん俺も!
二人ともめっちゃかわええし、ローデリヒに……あぁ、せやった!
ローデリヒとフェリシアーノちゃんが探してたで。一緒に戻ろうや。」
にこにこと悪意のない笑顔で話すも、まったく無反応だった歌姫は
ぴくりと反応を示した。…寝ていたわけではなかったようだ。
けれど、それ以上の反応はなく、さてどうしたものか。
「二人とも、心配してたで。な、戻ろう?」
階下に降り立ち、歌姫の目の前に立つ。
すると、歌姫は気怠げに顔を上げた。
フェリシアーノに良く似た、けれどどこか凛々しく秀麗な歌姫の
紅を塗った艶やかな唇から出た言葉は…――――。

「……ぅっせーな。俺に話しかけんな。うぜぇんだよ。
アンタ、馬鹿?無視してるのが分からないのか?」


***********


ご機嫌ナナメな歌姫ロマ。


 

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