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夏の本どうしようかなーって迷走中…

夏といえば海ということで海上西ロマが書きたいんですよね。
で、妄想してたネタで本に出来そうなのといえばこれかなって。
いやだから、私は歌姫ネタが好きすぎるんです。

トマポリとどっちがいいですかねー?



+ + + + + + + + + +
海を見ると泣きたくなるの

還りたい

還りたい

還りたい

今ここから

この船から飛び降りたら

還れるかしら

月も星もあの蒼さえも

私を受け入れてくれるかしら



【蒼のラプソディア-船上の歌姫-】




地中海を周遊するブルーオーシャンズ号はレストランやカフェ、
娯楽施設や病院に至るまで完備した街ひとつを丸々船に乗せたような巨大な客船だ。
更に客室もあらゆる贅を尽くしたまさに豪華客船である。
そんなブルーオーシャンズ号の中にあるオペラハウスでは
今回の周遊の目玉とも言えるイベント『歌姫姉妹』による公演が行われていた。
イタリアから周辺国に置いて人気を博す『歌姫姉妹』にはこのような噂があった。
その天使の如き歌声を聞いたものは幸せになれる――――――
噂が噂を呼び、誰もが幸せを求めてその歌声を聴きたがった。
しかし、そのような歌声は存在しないのだ。
何故なら、その歌声を毎日聞いている俺…歌姫姉妹の片割れである俺にはそれが…
『幸せ』はいつまで待っても訪れないからだ。

ブルーオーシャンズ号での初公演の夜の部が始まった時だ。
舞台上で弟であるフェリシアーノとともに満員の客たちの前で
歌声を披露していると、ふと視線を感じてそちらに視線を動かした。
公演中であるから皆の注目が集まるのは分かるが、
その視線はそれとは何かが違っていて気になったのだ。
大勢の客の中から注意深くその視線の主を探す。
じくりと焼けるような熱さの中に、激しい何か。
それでいて甘やかな優しさを堪えているような…――――――
(あ…)
たくさんの人の中から仄暗い会場から
キラキラと輝く綺麗なペリドットの宝石のようなみどりの瞳を見つけた。
ロヴィーノの視線とかち合ったその視線の主はロヴィーノを見つめて
ひどくゆっくりと、優しげに目を細め口元を綻ばせた。
「…っ!?」
何だ今の。
すぐさま目線を外したロヴィーノは動揺を隠し切れなかった。
じりじりと焦がされたかと思えば、あんな。
あんな愛しいものを見るような瞳で優しく微笑まれたら…――――――
――――――?
たら?だったらなんだというんだ。馬鹿馬鹿しい。
なんで男に微笑まれただけで動揺してんだ、アホか俺は。
隣に立つ弟が気遣わしげな視線を寄越すが、
ロヴィーノは無視をして歌に集中することにした。
その胸に火傷のようなじくじとした痛みにも似た感情を押さえ込みながら。

 

 

「お疲れさま、にいちゃん!ねぇ、このあと皆で打ち上げするみたいなんだけど
兄ちゃんどうする…って、あれ?兄ちゃん?!」
どこ行くの?!という弟の声を振り切り、暫く一人にさせろと言って展望デッキに出た。
デッキに出ると海風に煽られ着せられていた真紅のドレスの裾がはためいた。
今が夏といえど海上は風が強い。更に夜とくれば剥き出しの肩がふるりと震えた。
白い手摺りを掴み、真っ暗な海を眺めながら小さく呟いた。
「還りたい、か…」
オペラの中のロヴィーノが演じる孤独な少女の台詞だ。
こんな海の中へ飛び込むなんて、流石に無理だな。
真っ暗だし、こえーし。
それに、こんな真っ暗な海の中じゃ余計に孤独だろう。
ふるりと寒さを訴える体に、手摺りに肘を突き、両手で二の腕を摩った。
舞台の最中、見つけたあのペリドットの瞳をふと思い出した。
途端にかっと身体が熱を持ったようで頭を振った。
(だからっ!なんで…っ)
あんな視線如きで動揺してるんだ、と頭を抱えそうになったところで
ふいに肩を誰かに抱かれた。
「…寒そうだね?こんなところで一人でいないで中で俺と一杯呑まない?」
バチンとウインクをしてきた金髪の男にロヴィーノは口元を引き攣らせた。
(うわぁ、なんかキタ…!)
肩を抱く手を払いのけ、ツンと横を向いて距離を取るが男は直も食いさがってきた。
「そんな冷たくしないでさ。なぁ、いいだろう?」
(何がいいんだ!なにが!)
男が伸ばしてくる手を避け身を逸らすも、ぐっと手首を掴まれた。
「なぁ、キミあのオペラハウスの『歌姫』だろう?
ファンサービスだと思ってさぁ…」
お前みたいなにわかファンにするサービスなんかねーよ。
という内心の声は音に出来ずに男のあまりのしつこさに辟易していると、
目の前の男とは違う手が、ロヴィーノの後方から伸びてきてその細い腰を引き寄せた。
とんと背中に感じる熱に、顔を上げた。
「俺のツレになんか用?」
掴まれた腕を叩き落し、ロヴィーノを抱いたままにっこりと笑みを浮かべた男は
ロヴィーノの見開いた瞳に気付いてペリドットの瞳を優しく細め、
そっと耳打ちをした。

「俺に合わせて」

少し訛りのある口調だが、耳に心地いい声が耳を擽り、思わずドキリとした。
ペリドットの瞳であの時の客だと気付いて思わず素直に身を預けてしまうと
ペリドットの瞳の男…アントーニョはもう一度そっと耳打ちする。

「そう、えぇ子」

男の手が掴んでいた方の手を取りアントーニョは見せ付けるように
手の甲にキスをして、再び男に視線を向けると
男はチッと舌を打ってその場を立ち去っていった。
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パラレルにおける親分とロマの出会いはいつでもロマンチックに書きたい
という妙なこだわり(笑)
歌姫姉妹ネタがほんとに好きですみません

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西ロマ早く結婚しろ!が口癖。現在APHにドップリ嵌っています。ロマーノは俺の嫁。
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