じゃないとこのどうしようもない駄文が、ほんとに恥ずかしくてたまらない!(笑)
最初の10話くらいまでは親分の視点をメインにして
間にちょこちょこロマの視点を入れていく…みたいな感じになりそうです。
最初から後半のネタバレ(というものでもない)全開になりそうww
墺さんとの裏のやりとりも挟みつつ、前半は親分がロマに親心的なものから
恋心的なものに変わるまでを書きつつロマの成長を見守っていき、
後半は逆にロマ視点をメインにしたいなぁと。
そんな感じで手を加えていってます。
続きに冒頭部分を少し。
少しはマシになっただろうか…。
ぽつぽつと降り出した雨がやがて全てを洗い流すように
荒々しい戦の跡が色濃く残る地面に落ちていく。
懐かしく美しかった風景はそこになく、ただ瓦礫の山と燻
った煙のような鼻をつく臭いが満ちていた。
大切だったものは、帰る場所は、一瞬のうちに消えてしまったのだという。
悲しいことに、今まで当たり前だと思っていたものは『当たり前』ではなく、
目を離した一瞬のうちに消えてしまうような、
儚いものだったのだと失くして初めて気付かされたのだ。
涙も流せない自分を責めるように降り続く雨の中で立ち尽くし、
ただ、ただもう二度と還らない『幸せ』の残骸を見つめ続けていた…―――。
【幸せのありか】
がやがやと賑やかな夜の歓楽街を無理矢理引き摺られるように歩きながら、
腕を引く友人になぁと声をかけた。
「ほんまにええって、今日は俺そんな気分でもないし」
「なーにシケた面してるくせに強がってんだよ。今日行くとこは兎に角美
人が多くてオススメだからまかせとけって!」
「ギルのオススメってとこが若干心配だけど、折角だし楽しもうよ」
聞く耳を持たない友人、もとい悪友たちに思わず溜息を吐いた。
…もう直ぐ家族の命日だ。あの事件以来里帰りもロクにしないで
その日をぼんやりやり過ごす俺を元気付けようとしてくれているのだろうということは
分かっているのだが、だったら放っておいて欲しいものだ。
わざとらしく騒ぐような日々はもう過ぎたのだ。
まだきちんと向かい合うことは出来ずとも現実をしっかりと受け止めなくて
前に進まないといけないのだ。
いつまでも同じ場所で立ち止まっているわけにもいかない。
…とは分かっていても、情けないことに毎年どうしてもぐだぐだに過ごしてしまっている。
「着いた着いた!入るぞー」
「ほんとに美人ばっかりなのー?嘘だったらあとでお尻撫でるからね!」
「やめろっ!手をわきわきさせんな!」
店の入り口で騒ぐ二人の会話を聞き流しながら店内を見回した。
古い洋館のような店は一階が酒場になっているようで女性が男性客に酌をしている姿が見えた。
その女性は下着のような服装で妖艶に微笑み、男に寄りかかって何かを耳元で囁いている。
愉しそうな様子に白けた態度を隠しもせずに視線を外した。
やっぱり今日は気が乗らない。
帰りたいなと思っていたところにがしゃんと何かが割れる音とそれに次ぐ怒声と
乾いた音と何かがぶつかったような音が聞こえてきた。
(なんや…?)
思わず三人で顔を見合わせてしまった。
フランシスと話していた店の主は詫びを言いながらそそくさと音のした方へと走って行った。
「なんか、ただ事じゃない音だったねぇ。」
「あぁ…。って、おい!アントーニョ!?」
ふらり。何かに導かれるように店主の後を追っていくと、店の裏手に出た。
そこでさっきの店主の男ともう一人の怒りを露わにした男…恐らく怒声の主だろう。
それから…――――――…子供が、ひとり。
「何をしているんだ!」
「コイツがまたやらかしやがったんですよ!」
「…また、お前か…。お前は仕事に戻れ。」
何かブツブツと言いながらもう一人の男が去って行った。
残された子供…――――少年だろうか?――――は俯いたまま動かない。
伸びた前髪で顔は良く見えないが、ぼろ布で簡易に作ったような服をぎゅっと強く握り締めている。
「まったく…少し見目がいいから買い取ったはいいが…
とんだ厄介者を拾ったようだな。一体いくつ花瓶や皿を割ったら
気が済むんだ?ぁあ?」
店主はまったく怒りを隠しもせずに、子供を詰る。
客に見せる顔と大違いだ。
「………。」
「黙ってないで、謝ったらどうなんだ!?お前のような掃除もまともに
出来ない上に、愛想もないクソガキが!」
男は罵声を浴びせながら子供の頭を無理矢理押さえ込み、頭を下げさそうとする。
「……っ!」
「とっとと謝らんかい、おら!」
なおも言い募るが子供は唇を一層噛み締め、意地でも口を開かないつもりなようだ。
その様子に怒りが頂点に達した男は、子供に向かって手をあげようとした。
(あかん!)
反射的に店主の振り上げた手を掴んで、子供を庇った。
自分でも良く分からないが、その時はそうしないといけないと思ったのだ。
「おっちゃん、そこまでで勘弁してやりぃや。」
「なっ…!?」
「そない怖い顔してたら、何も言えんやん。なぁ?」
にこ、と子供に笑いかける。
驚いて見開いた大きな瞳が俺を映し出す。
(あぁ、なんや。綺麗な瞳しとるやないの)
殴られたせいか、頬が赤く腫れ唇を噛み締めすぎて口の端から赤い血が流れていた。
よく見れば、まともに食事を与えられていないのか、
服から伸びる手足がまるで小枝みたいで、触れただけで折れてしまいそうだ。
それに、痣だらけだ。
きっと、殴られたのは今回だけではないんだろう。
それでも、あぁして唇を噛み締める小さなこの子供は、
そこまでして何を耐えているんだろうか――――――――。
こちらを凝視する少年に、にっと再び笑いかけた。