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唐突に書きたくなって…
走り書きです。西→ロマかーらーの西ロマ



+ + + + + + + + + +

大学を卒業してすぐ就職した今の会社で
日々仕事に追われる毎日を過ごしているアントーニョにとって、
休日は何も考えずに寝られる貴重な日と化していた。
その日も午後まで睡眠を貪るつもりでいたのだが、
そんなアントーニョの眠りを妨げる人物が一人。
一人暮らしのアントーニョの部屋に忍び込んだその人物は
抜き足差し足でそっと廊下を進み、
寝室のドアを音を立てないように慎重に開いた。

深く眠り込んだアントーニョの寝顔を覗き込み、
チャシャ猫のようににんまりと口角を上げて笑うと
小さく『せーの!』と声を上げてアントーニョの寝ているベッドへとダイブした。

「起きろこのやろー!!!」
「ぐえっ!?重ーっっ!!!な、なんやぁ…っ?」

驚いて飛び起きたアントーニョの目の前でアントーニョの腹の上に
跨った侵入者…ロヴィーノは悪戯が成功して満足そうににやりと笑った。
形のいい唇に思わず目がいってしまうが、
そこから無理矢理視線を剥がして片手で顔を覆って深く溜息をついた。。

「ロヴィー…頼むから静かに休ませてやぁ」
「もうすぐ昼だぞ、起きろ。んで、早く着替えやがれ」

ほら、早く。
なんて言いながら俺の身体に跨ったままゆさゆさと揺さ振られて
在らぬところが急に起き出しそうになって焦る。
年下の幼馴染であるロヴィーノの子供っぽい仕草に
可愛いなと思ってしまうが、待て待て。本当にやめてくれ。
朝から一体なんの拷問?!

「~~~~っ分かった!分かったからはよどいて!!」
「何焦ってんだ畜生」

はーやれやれと身体を起こそうとするのを見て、
ロヴィーノはアントーニョの上から退くと、
今度はアントーニョの部屋のクローゼットを勝手に開けた。
身体を起こし、ベッドサイドに腰かけると、
ロヴィーノはクローゼットから勝手に物色した俺の服を手にして
相変わらずだせぇのしかねーなと言いながら服を投げて寄越した。

「今日はそれ着ろ。出かけるぞ」
「はぁ…?どこに?」

ロヴィーノの突然の外出命令にやれやれと肩を竦ませた。
昔からロヴィーノの我儘を何でも聞き入れて可愛がってしまったせいか
俺は何でも我儘を聞き入れてくれて当たり前だと
ロヴィーノは思っているのではないか。多分そうなんだろうが、
一度強く断るともうロヴィーノは自分に懐いてくれないのではないかと
不安になってしまい、結局しょうがないなと受け入れてしまう。
結局は惚れた弱みというやつかもしれない。

まだ寝惚け眼のアントーニョの声にロヴィーノは短く答えた。

 

「映画」

 

 


「いいお友達でいましょう?だってよ!!あーもう!!なんでだよ!?」

映画の前に先に昼飯(アントーニョにとっては朝食兼昼食)を食べることになり、
映画館近くのカフェでパスタを食べながらロヴィーノは言った。
何でも、気になっていた一つ上の先輩に告白してデートに誘ったら
見事に断られてしまったらしい。
急に映画なんて何事かと思ったら、そのデートで行くはずだった
映画のチケットが無駄になるからとこうして俺は連れ出されたらしい。
物凄く複雑だが、内心ほっと胸を撫で下ろした。

俺はロヴィーノが好きだ。
好きなんて言葉だけでは語りつくせないほどには
ロヴィーノを愛しているし、それは誰にも負けないと思っている。
(けど…、ロヴィーノは“女の子”が好きだ)
昔から何度フラれて落ち込んでも、
それを(心にもなく)応援して慰めてきた俺には決して傾かない。
報われないなぁと諦めて少しずつ距離を取ろうとするのに、

困ったことに、あの子の『アントーニョ』と呼ぶ声が離れられなくした。

 

(困ったなぁ、ほんまに)

 


「センパイ、頭良くてさー。この間のテストでは十番以内だったんだってさ」
「へぇ、そうなん」

(俺かて現役時代はそこそこの成績やったけど?何か?)

「でも全然鼻にかけてなくて、優しくて…
この間裏庭の花壇に水やってるのみたんだ。すげぇかわいい」
「…へーそーなん」

(俺かてお前にはめっちゃ甘いやろ!!
現役時代はサッカー部に園芸部に掛け持ちしてたし
トマト育てて夏にはえぇやつお前にあげたやん!!!!)

「何度も声かけてやっと俺に笑いかけてくれるようになって、
あ、これイケんじゃね?って思ったのによぉ!」
「…へぇ」

(俺はいつでもロヴィに笑顔あげるし、なんやったら
元気の出るおまじないもしたるし、それに…――――――!)

「はぁ…いつになったら可愛い彼女出来んのかなー」

内心の叫びは口に出来るわけもなく、
取り繕った笑顔を貼り付けて、慰める。

「ロヴィ、まだ若いんやし、これからこれからやで」
「ん…そういうお前はどうなんだよ?」
「俺?俺は…――――――まぁ、ぼちぼち?」

所属する課の飲み会や同期会も都合があえば参加はする。
さり気無く誘いをかけてくる子もいるが、
あえて空気を読まずにさらりとかわしている。
据え膳なんて有難い状況でも、だ。

だって、俺が欲しいのはロヴィーノだけだ。
それ以外なんてどうでもいい。
ロヴィーノが俺のことを好きになってくれたなら、どんなに。

(……ま、ありえへんか)

無邪気に好きな女の話なんてしてくるのだからほんとに、この子は。

 

「ふーん…そのわりに、休日にデートする相手いないんなら俺と一緒だろ。
そういや、今まで聞いたことなかったな。お前の好きな子ってどんな子だよ?」

 

 

 

――――――人の気も知らないで。

 

 

 


ガタンと席を立つ。

「ほら、映画始まるでー」
「あ、まっ待てよ!」

伝票を片手にさっさと店を出ようとするアントーニョの背後で
慌てたようにロヴィーノも席を立って後に続いた。

会計を済ませて店を出てロヴィーノの歩調に合わせることなく
歩いていると、少し遅れてロヴィーノがついてくる。

「待てよっ!なんか怒ってんのか?」
「怒ってへんよ」
「なんだよっ!悪かったよ、貴重な休日に俺なんかに付き合わせて」

ぴたりと足を止めて振り返る。
ロヴィーノの泣きそうな表情に胸が痛んだが、
自分の想いのままならなさに、つい苛立ちをぶつけてしまった。

「怒ってへん。けど、そないに思うんやったら休日に一人暮らしの男の部屋の、
しかも寝室に無断で入ってきたらあかんやろ。…意味、わかるやろ?」

ロヴィーノの瞳が見開かれる。
いもしない彼女の存在を仄めかす発言に、キリ、と胸が痛んだ。

「…彼女、いたんだな」
「………まぁ、な」
「そう…そっか……そうだよな」
「…っ今日はたまたま約束なかったからえぇけど…
ほら、映画行くんやろ」

目に見えて沈んだロヴィーノが小さく頷くのを見て、
ゆっくりと歩き出した。
時折振り返ってとぼとぼと歩くロヴィーノに合わせる為に
何度か立ち止まって待ち、近づくとまた歩き出した。

なんだろう。
そんなに落ち込む話だろうか。
むしろ嬉々としてからかってくるかなと思ったのに。
…あ、自分と同じ恋人もおらん寂しいやつやと思ってたんに、
実は先越されてたん知って、ショックやったとか?
うーん…。

ふとロヴィーノを振り返ると考え事をしていたせいか
思いの外距離が開いていて立ち止まった。
ロヴィーノの足は完全に止まっていた。

「ロヴィー?」

近づいてその表情を覗き込むと、ぎょっとした。
ロヴィーノの瞳に涙が浮かんでいた。

「えっ、ちょっロヴィー!?」
「う、…えっ…」
「えー!ちょっ、ロヴィなんで?!なんで泣くん!?」

焦るアントーニョと裏腹にわぁっと子供のように泣き出したロヴィーノに、
周囲の人の目が突き刺さり、慌ててロヴィーノの手を引いて
人気のない路地にロヴィーノを連れ込んだ。

「もう、なんで泣くん?俺、怒ってへんから、もう泣かんとってやぁ」
「…やだ」

ぐすぐすと泣きながら嫌だと繰り返すロヴィーノに、
正直泣きたいのはこっちの方なんだが、と思わずには居られない。

アントーニョは困り果てながらよしよしと頭を撫で涙を拭ってやる。
そうしてようやく落ち着いたところでロヴィーノは
涙の痕が光る顔を上げた。

「かのじょ…やだ」
「うん?」
「かのじょ、とか…つくったらいやだ」
「……うん???」

まだ若干涙声で上目遣いでそう言われてアントーニョは
ドキリとしながらもロヴィーノの声に耳を傾けた。
要領を得ないアントーニョに若干腹を立てたロヴィーノは
アントーニョのシャツをぐっと掴んだ。

「その彼女より、俺の方が絶対お前のこと好きだっ!!
だからっ…俺が!!!お前のコイビトになってやるから!!
お前は俺のことだけ見てればいいんだよっばーかっ!!」

 


「…………え?」

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西ロマ早く結婚しろ!が口癖。現在APHにドップリ嵌っています。ロマーノは俺の嫁。
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