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前回のと今回の間に簡単にロマから聞いた話とかを入れるんですけど、
上手く纏まらなかったので後回しにします。←
先に親分とお貴族様との内緒話を交えたお貴族様登場シーン。
…内緒話はこの後ですけど。(笑)



7/8 追記
纏まらなかったという間の話を追加しておきました。

+ + + + + + + + + +





 

地鳴りのような子供の泣き声が聞こえてくると、アントーニョは
それまでしていた仕事も放り出して泣き声の元に駆けつけた。
「よしよし、どないしたん?ロヴィーノ」
寝室のベッドの上で蹲っているロヴィーノを抱き寄せ、背を撫でた。

この屋敷に連れてきてから暫くは、ロヴィーノは良く泣いていた。
誤解しないで欲しい。俺はロヴィーノを虐めたりしてへんよ?
そうではなく、シエスタから目を覚ました時とか、悪い夢を見た時、
俺が居ない時に、身に受けた暴力や中傷、恐怖と酷い孤独感を思い出すのだ。
ひとりは嫌だ、と。
怖い、と。
殴らないで。
ごめんなさい…――――と。
泣きじゃくるロヴィーノをそのたび強く抱きしめ、泣き止むまで『大丈夫』だとあやした。
最初は酷く戸惑ったものだが、今ではすっかり慣れてしまった。

ロヴィーノが熱を出した時、エーデルシュタインの主治医で昔から診てくれている
爺さんに来てもらった際に事情を話し、ロヴィーノの尋常じゃない泣き方は、
もしかしてここにいるのが嫌だからなのかと相談したのだ。
だが、それは違うようでロヴィーノはずっと感情を押し殺してきたせいで
酷くストレスが溜まっているのだ。
それと急に環境が一遍したのもあるだろうし、
出来るだけストレスを溜めさせないようにのびのび過ごさせてやっていれば
そのうち治るだろうと。
泣き出した時は無理に黙らせるようなことはせず、
辛抱強く見守るように言われ、頷いた。
それ以来、対応に戸惑うこともなく、泣き止むまでしっかりと抱き締め、
不安定な感情を持て余すロヴィーノにここは安心出来る場所だということを伝えた。

そうして徐々にロヴィーノも慣れてきて、口数も最初よりは多くなってきた。
(これはロヴィーノがぽつぽつ話してくれたことを纏めた話やけど。)
育ててくれていた爺様が死んで、弟と別々に引き取られたけど、
ロヴィーノは不器用で、素直じゃない。他人になかなか心を開かない。
子どもらしくない、と引き取られた先からまた別の主人の元へ、
そうして短期間に何度もたらい回しにされ、最後に金と引き換えに例の娼館へ売り飛ばされたらしい。
…これだけでも酷い話だった。
けど、ロヴィーノはそれだけではない。
ロヴィーノの身体にはあの日、殴られた傷以外にもいくつも傷があった。
…―――――虐待紛いの暴行、か。

誰からも必要とされず、娼館でも掃除さえまともに出来ない。だから殴られても仕方がなかったんだ。
そういうロヴィーノの悲しい声に思わずぎゅうと強く抱き締めた。
どんなに寂しかったことだろう。悲しかったことだろう。痛かったことだろう。
最初に出会った時の強く唇を噛むロヴィーノを思い出した。
もうあんなふうに耐えることはしなくていいんだ。
「アントーニョ、苦しい…!」
「…あかんわ~。ロヴィーノが可愛すぎるぅもうちょいこのままでおって!」
ふざけた口調で言いながら、これからは辛いことや悲しいこと、
ありとあらゆるものからロヴィーノを守ってあげたい、とそう強く思った。

ロヴィーノの頭突きが炸裂するまであと五秒。


* * * * *
 

エーデルシュタインの本邸である屋敷とは離れた場所にある
アントーニョの家(カリエドの本邸ではない)はアントーニョ以外に出入りするのは信
頼のおけるメイド数人と時折悪友でもあるフランシスやギルベルト。
それから…―――――――。

「このお馬鹿さんが!またあの悪友たちと出かけたそうですね?
前から言っているでしょう!友人は選びなさい、と…―――。」

朝から怒鳴り込んできたのは、エーデルシュタインの若き当主ローデリヒだった。
案内をしてきたメイドが背後ですまなそうに小さく頭を下げた。
家主がまだ寝ているのを知っていたが、ローデリヒを止められなかったからだろう。
それでも彼女のせいではないので、咎めるつもりはない。
が、そのローデリヒはロヴィーノを見て顔色を一層青くした。
目が合ったロヴィーノはアントーニョの背後で身を竦ませた。

「アントーニョ、貴方いつから子供を…というか、誰との子ですか?」
「阿呆言いなや!俺の年でこんなデカイ子供おるはずないやろ!」

寝起きにガミガミと五月蝿いことこの上ない。
時計を見るとまだ九時にもなっていない。
今日は急ぎの用事もなかったはずだし、咎められる謂れもないはずだ。
面倒くさいなぁと思いながら頭を掻いた。

「では、ま、まさか…!あの悪友のせいでとうとう犯罪を…」
「ちゃうわ!!…ちゃーんと金は払ってきたで?」

何にも問題ないだろうと得意げに胸を張ると、ローデリヒの口元が引き攣った。

「このお馬鹿さんが!そう言う問題じゃありません!今すぐ返してきなさい!!」
「嫌や。あんなトコにロヴィーノ返せるわけあるかい!」

そうや。もうこの子は俺のモンや。
絶対手放したりするものか。
そう思ったところで、背後のロヴィーノが身を硬くしていることに気が付き、腕の中に引き込んだ。

「もー。お前がそんな怖い顔してるせいで、ロヴィーノ怯えとるやん!」
「なっ…!」
「話は後で聞いたるから、リビングで待っとけや。
…寝室に怒鳴り込んでくるのは、流石にやめたってやー。」

まだ文句言いた気なローデリヒがひとまず部屋を去ったあと、
腕の中で小さくなっているロヴィーノに、苦笑した。

「ごめんな~。あの兄ちゃん悪いヤツやないねんけど…。」

へらりと安心させるように笑うと、ロヴィーノは俯いたまま
俺の服をきゅっと握ったまま、小さく呟いた。

「俺…ここにいたら、いけないのか…?」
「そんな訳ないやん!ロヴィーノはここでずっと俺と暮らすんやで?」
「でも…。」

また泣きそうな瞳で俺を見上げてくる。
その頭を優しく撫でながら、額に口付ける。

「ローデリヒの言うことなんか、気にせんでえぇよ。
やって、ロヴィーノはもう俺の家族やもんな?」
「…かぞく…」
「そうや。ロヴィーノは、俺の家族やで!
やから、ずっとここに居ってえぇんよ。
っていうか、どこにも行かんとって…なぁ、ロヴィーノ。」

この気持ちがどこからくるのか分からない。
まだ会って間もないのに、こんなに手放し難いと思ってる。
足りない何かが満たされる気がするのだ。
(俺、やっぱ変なんかなぁ)
けれど、もうロヴィーノの居ない生活なんて考えられない。
なぁ、傍におってな。ずっと。ずっと。

「…そ、そこまで言うなら、…ずっと、いてやるぞ。コノヤロー…」

そんな小さな声で、トマトみたいに真っ赤な顔して、
可愛いことを言うのは、反則やで…!
かわええー。とぎゅうぎゅう抱きしめて、トマトみたいな頬をぷのぷのと突く。
柔らかくて、もちもちした頬は俺のお気に入りだけど、触りすぎると怒るので加減が大変だ。

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