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5話あたりです。
同人誌版にはこの5と6の間に1話書き足そうと思ってます。
あと…すごく間に合わない気がしてきたので
上下2冊のつもりでしたが、3冊に分冊するかもです。
かもというか今のペースだとそうなる。確実に(笑)
〆切まで時間もないので死ぬ気で頑張るしか…ない!





+ + + + + + + + + +

ロヴィーノをこの屋敷に連れてきてから、早一月。
傷もすっかり治り、ロヴィーノの身体に包帯を巻くこともなくなった。
そして、今は文字の読み方、書き方、簡単な計算の仕方等など、勉強の日々を送っている。

けれど本当はそんなもの必要ないと思っている。
何も出来なくても、知らなくても、俺が守るから大丈夫だと。
でも彼は自分が何か出来ないと不安なようなので
ローデリヒに言われたとおり、勉強させることにした。
…ちゃんとした家庭教師を雇えって言われたけれど、まぁそのうち、と誤魔化している。
まだロヴィーノは他人が怖いだろうし、不用意に他人を家に上げるのもどうかと思うし。
…いや、それはいい訳だ。
(俺が嫌なだけだ)
ロヴィーノのことは全部自分がやりたいし、いろんなことを教えていきたい。
他人にその役目をさせたくない。
まぁロヴィーノは元々そんなに頭悪い子でもないから、大抵のことは直ぐに覚えた。
もう絵本くらいやったらひとりでも詰まることもなく読めてしまう。
最近では自分で書庫から本を引っ張り出して読むようになった。
いい傾向だと思う。
やっぱり俺のロヴィーノは可愛くて、えぇ子やろ?と周りに自慢して回りたいくらいだ。
頬がにへらとだらしなく緩んでしまうが、気にしない。
ロヴィーノが可愛いのがいけない。

: : : :

今日は、あれから会ってなかった悪友であるフランシスとギルベルトが
この屋敷を尋ねてきていた。
ロヴィーノの手を引いて、二人が待つ応接間に向かった。
「久しぶりやんなー、フランシスにギル。」
「お、やっと来たな。」
「客を待たせるなよなー。」
「すまんな~。ロヴィーノの仕度に手間取ってもうてん。」
そういうと、2人の視線が俺の背後に隠れたままのロヴィーノに移る。
今日は前にエリザちゃんに貰った淡いグリーンに白の小花柄の
女児用のドレスを着せた。
白いレースのヘッドドレスも合わせて、手伝ってくれていたメイドと一緒に
ぐっと親指を立ていい仕事をしたと互いを褒めあったりなかったり。
「あー、あん時の!どうしたかと思ってたけど…」
「お、なかなか可愛いじゃない?流石アントーニョ」
「何が流石やねん。ロヴィーノ、ほら。挨拶は?」
ぽんと背を押すが、ぎゅっと俺の服を握ったまま、離そうとはしない。
うーん、やっぱりまだ怖いんかな…。まぁしゃーないけど。
「悪いなー、まだちょっと、なぁ…。」
「あー…うん、そうだな。こんにちは、ロヴィーノ。
お兄さんの名前はフランシス・ボヌフォワだよ。よろしくねー」
「俺様はギルベルト・バイルシュミットだ!」
それぞれ適当に挨拶して、座って世間話をし始めた。
もちろん、ロヴィーノは俺の隣。まだ若干警戒しているのか、
俺の服を掴んだまま離さない。
表情もだいぶ強張ってて、少し可哀想になったけど勘弁したってな、と頭を撫でておいた。
それに顔を上げたロヴィーノは、『やめろ、このやろー!』と
ぼぼっと頬をトマト色に染めていた。
(くあああえぇええええ!!)
「あ、そうそう。これ、土産。お兄さんの手作りケーキだぞー」
「え、うわ、おおきに!早速食べるでー。」
箱を開けると、苺を筆頭にフルーツがたっぷり乗ったホールケーキだ。
まず、4分の1にカットすると、そのひとつだけそのまま皿にのせる。
あとはもう一回半分に切っておく。
「気がきくじゃねぇか。俺様には一番でかいのよこせ!」
「アホいいなや!…これは、ロヴィーノのやで~♪」
笑顔で大きめに切ったケーキの皿を渡すと、ケーキを見た瞬間に
目をキラキラさせていたロヴィーノの目が
『いいのか?』と聞いてくるので『えぇよ』と頷いておいた。
「でもその前に、ロヴィーノ。ケーキくれたフランシスにお礼言いな?」
あの金髪の兄ちゃんな、と手で示すとロヴィーノは小さく頷いた。
「…っ…あ、り…がと…。」
ロヴィーノは頬をトマトみたいに染めてぼそぼそと小さな声で言うが、
バッチリここにいた全員に聞こえていた。
愛らしいその姿にずきゅんと心臓を打ち抜かれた。
「か、か…くああああああええええええええええっ!
くああええやんなあ?なぁ?あぁもうっ俺のロヴィーノはえぇ子やー!!」
「ロヴィーノかわいいよ、ロヴィーノ…ハァハァ。
こんなアホトーニョなんかには勿体ないよ!お兄さんとこにおいで!!」
「だめー!それは絶対あかーん!!ロヴィーノは俺のや―――――!
ロヴィーノは俺の嫁(予定)になるんや―――――――――!!」
「ロヴィーノ欲しいよっ欲しいよ!ハァハァ。」
「お前らうるせぇ――――!ハァハァすんなフランシス!キモい!!」
ぎゃんぎゃん騒いでいる大人を横目に、ロヴィーノは一人我関せずとばかりに
もくもくとケーキを食べ続けていた。

興奮が収まったところで、ギルベルトが口を開いた。
「ところで、なんでコイツ…女物のドレス着てんだ?」
今更のその発言に、フランシスときょんとしてしまった。
なんで?ほんなん決まっとるやん!
「ロヴィーノ別嬪さんやから、似合うやろ?」
「似合ってるから、いいんじゃないか?つーか、俺のところにk」
「だめやってゆうとるやろー!!」
「…あと、その服!なんかすげー見覚えが…。」
じ、とギルにニラまれているのに気が付いたロヴィーノは
ケーキを食べていた手を止めてしまった。
「そんな睨まんといてやー。あと…ドレス提供者はエリザちゃんやで。」
「うっわ!やっぱりかよ!!つーか、提供ってなんだよ?」
「ロヴィーノに着せる服探しに本宅行ったときにローデリヒに会いにきた
エリザちゃんと偶然会ってん!ロヴィーノの話したらいろいろくれたで?」
この間もローデリヒのところに来たついでにこちらにも顔を出してくれて、
その時もロヴィーノに着せる服について楽しく語り合ったりした。
今度エリザちゃんオススメの仕立て屋を紹介して貰う予定だ。
「…相変わらず、なんだな。」
「なんだよ、ギル。まさか、まだ未練が…?」
によによしながらフランシスがギルをからかう。
そにギルが言い返すのを聞き流しながら、ロヴィーノはと様子を窺う。
もくもくとケーキを食べている姿に、和んでしまう。
ロヴィーノはフランシスのケーキが気に入ったのか、一口一口味わうように食べ進めていた。
「あ、ロヴィーノって結構綺麗に食べるね。
ちゃんと躾してるんだなーアントーニョ。」
「いや、ロヴィーノは元々ちゃんとしてたで~。
でもローデリヒがこの間来てな、テーブルマナー教えて行ったんや…。」
「うわ~あのお坊ちゃんじゃ、さぞ厳しかったんじゃない?」
それは、もう。厳しかった。
ロヴィーノは泣きそうになるし、アイツはアイツでピリピリしているし。
あんまロヴィーノ苛めたらんでーと何度もフォローを入れたくらいだ。
「でもロヴィーノはしっかりやってたで!
しかも最後にはあのローデリヒがちょっと褒めていきよったんや!
流石、俺のロヴィーノやろ~?」
と、緩みきった顔のままで言うと呆れた顔をされた。
なんやのん。自慢したってえぇやん…!

「ごちそーさま…なんだぞ、このやろー。」
テーブルに皿を置いて、最後のは余計やけどちゃんと『ご馳走様』するロヴィーノ。
むっちゃかわえぇ…!
「もういいん?俺のも食べてえぇよ?」
「…でも、お前のだろ…。」
「ロヴィーノが食べたいんやってら、食べてえぇよ?」
「じゃあもらう。後でやっぱ駄目とか言うなよ?」
「ほんなん言わへんよ~?」

余程フランシスのケーキが気に入ったようだ。
確かに、美味いもんな。髭面のくせに。
ロヴィーノがケーキにフォークを入れるのをぼんやり見ていると、
ロヴィーノはそのケーキが乗ったフォークを俺に突き出してきた。
「…え、何?」
「…やる。お、俺は偉いからっ一口やるんだぞ、このやろー!」
「…っっっ!!」
あかん。何この可愛い子!!!ちょ、もう反則や!!
ハグしたい、今めっちゃハグしたい。頬ずりしたい!
という欲求が頭の中をぐるんぐるんと回って
暴走しかけたが、何とか思いとどまった。
「い、いらないのかよ、この…。」
「いる!いります!ください!」
あー。と口を開けたところに、ロヴィーノが食べさせてくれた。
甘い生クリームにふんわりしたスポンジにオレンジソースがいいアクセントになっていて
素直に美味しいと思った。本当にフランシスの菓子は絶品だ。
けれどそれ以上にロヴィーノが以下略。
「うまいか?」
「めっちゃ美味いわー。ロヴィーノ俺めっちゃ幸せで死にそう…!」
「そ、そーかよ…。」
やってから恥ずかしくなったのか、俯いてもごもご食べている。
その頬が赤いのがまた、トマトみたいで可愛くて、美味しそうで…と、思ったのは内緒である。
でも…ちょっと、だけ。
味見してもえぇかな。ええよな!!ロヴィーノが可愛すぎるのが悪い!
ロヴィーノに責任転嫁して自らの欲求に従った。
「ロヴィー、ほっぺにクリームついてんで~。」
「っ?!」
ペロリとその頬を舐める。もちもちした頬はクリームよりも甘い気がしたのは気のせいか。
…もちろん、クリームついてるなんて嘘である。
「なっ何すんだっっば、ばかやろ――――――!!」
「おーい、お前らー。イチャイチャすんなー。」
「客人放っておくなー!!」
「かああえぇぇえ!あーもーロヴィーノ可愛すぎや~!
外野うるさい。ちょっと黙っといてんか。」
あぁ、もう。ロヴィーノ見とるだけで、幸せやんなぁ。
ほんま、かわえぇ。
ずっと、一緒におって欲しい。
このまま。何も変わらんといて、と願いながら。
…だけど。
それは、無理な話だと解かってた。

あの頃は思いもしなかった。
ロヴィーノを“好き”な気持ちが
触れることさえ途惑うようにさせてまうなんて…―――――。

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