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のんびりしてたらあっという間に12月になってしまうので
さくさく加筆修正していかないとなー…。



平行して書いてる話があるんですけど、
ちょっと…自分の趣味に走りすぎてる気がするんですよね…;;
まぁぶっちゃけ女装えろなんですがね…。←
えろってどうしたらえろく書けるんですか。
もういろいろ考えすぎて分からなくなってきたよ…。(笑)

+ + + + + + + + + +

寝室の窓のカーテンをそっと開けてみる。
暗くなった空には、宝石箱から零れたような数え切れない星が光り輝いていた。
ロヴィーノは目を伏せると小さく息を吐いた。
(…今日は遅くなると言っていたが、そろそろ帰ってくるだろうか)
カーテンを閉めて大きなベッドに戻ると枕を背もたれ代わりに、読みかけの本を開いた。
しんと静かな屋敷に一人でいると世界から自分だけ切り離されたようで酷く不安になる。
(早く帰ってこいよ、このやろー)と心の中で毒づいた。
『先に寝ててもえぇんよ?』
と、いつも遅くなるときはアントーニョはそう言ってくれるのだが、
余程のことがない限りは、こうして彼の帰りを待っていた。
一人で待つのは好きじゃない。好きじゃない…
けど、俺が起きて待ってると決まってアイツは…――――。
「ロヴィーノ!」
ふいに扉が開いて、アントーニョが顔を出す。
ふにゃりとしまりのない顔をそのままに『ただいま』と声をかけながら
俺の頬に指を滑らせて撫でる。
そう。
俺が待っていたら、アントーニョは心底嬉しそうに笑うから。
頬に感じる温もりに、安堵する。
アントーニョの笑顔は、嫌いじゃない。けれど。
「………おかえり」
視線を合わせることが出来なくて、ふいと視線を背ける。
もう少し素直になれたらどれだけいいか。
けれど、俺には『素直さ』というものは欠片も持ち合わせていないのだった。
「遅ぇんだよっちくしょーが。」
アントーニョのように笑うことも出来ず、いつものように毒づいてしまう。
それでもアントーニョは気にもせずに『ごめんなぁ』と笑う。
笑って、額に、瞼に、頬にとキスをくれる。
「ロヴィーノ…」
「んっ」
そして最後に唇へと触れる。
唇にキスをするようになったのはいつからだろうか。
そうだ、俺がアントーニョが好きだって自覚した時からだ。
それからずっと繰り返される挨拶のキスにいつも戸惑う。
最初は触れ合わせるだけのものだったそれが、
いつからかまるで恋人同士がするキスのように深く舌を絡めあうような熱いキスになる。
上擦った声が漏れるのが恥ずかしくて堪らないのに、アントーニョは
もっともっとと深くしてくる。
そうしていつも俺が息も絶え絶えになって酸欠になりかけると仕方なく唇を離すのだ。
(くそ、なんか悔しい)
はぁ、と息を整えているロヴィーノを満足そうに見つめている
アントーニョを、ロヴィーノはまだ知らない。
「ロヴィーノ、ご飯食べた?」
「ん」
「ほな、着替えてくるな。もうちょっと待っててや~…そんで、一緒に寝よ?」
「…しょーがねぇから、一緒に寝てやる。」


あれから数年、俺とアントーニョの生活は少しだけ変わった。
アントーニョは本宅で仕事をするのをやめて、こ
の屋敷の執務室で仕事をするようになった。
もちろん、必要な時は本宅に行くこともあるが、この屋敷にいる方が長くなった。
そう、つまりは一緒にいる時間が長くなったということ。
それから、アントーニョは元々数人しかいなかったが、
住み込みのメイドを全て解雇してしまった。
代わりに数名の家政婦を週に2、3度通わせている。
…前にアントーニョがメイドのいるところでキスをしてきたから、
恥ずかしいからやめろ、と言ったら…何故かこうなったのだ。
アントーニョはたまに訳のわからない行動に出る。
メイドのいるところでしなければ別に嫌じゃないのに、それが上手く伝わらなかったようだ。
俺のせいで皆がいなくなってしまったのかと暫く泣いて過ごしたけど、
アントーニョは『彼女たちには別の仕事場に移ってもらっただけだから、そのうち会える』
と頭を撫でるだけでそれ以上は何も言わなかった。
そう言えば、最近フランシスもギルベルトも顔を見せなくなった。
…別に会いたいわけじゃないからな!
ただ…そうなると、俺はアントーニョしか話し相手がいないから。
それはそれでいい。だけど…不安だ。
アントーニョが仕事で家を空けている時は誰もいない。
この孤独感はいつか感じたことがあった。
アントーニョは優しいし…時々変なヤツだけど。
でも、俺はいつまで…お前の傍にいられる?
アントーニョは『ずっと一緒に居ってな』っていうけど、このままずっとなんて、ありえないだろう。
アントーニョはもう結婚して、子供の一人や二人、居たっておかしくない年だ。
現にローデリヒは婚約者だったエリザベートさんと2年ほど前に漸く結婚した。
子供はまだだが、いずれきっと…。貴族にとって子供は大事な後継ぎだ。
だから…アントーニョもいずれ……結婚するんだろう。
どこかの『カリエド家』に相応しい美しい令嬢と。
そうなったら、俺はきっと邪魔だ。
そもそも、そのヒトになんと言って俺を紹介するつもりだろうか。
家族だというなら弟?…冗談じゃない。
アントーニョが他の誰かに優しく微笑み、誰かを隣に置いて、
そして誰かに…キスをする。
そんなことを、傍で見ていることなんて、出来ない。
出来るわけがない。考えただけでも、気が狂いそうだ。
そんなの耐えられない。

アントーニョの笑顔は俺にだけ向けて欲しい。
傍にいていいのは、俺だけって言えよ。
その手で俺以外の誰かに触らないで。
キスしていいのは、俺だけだろ…―――――なんて。
束縛なんて出来るわけも、そんな権利もないだろ。
…どれだけ醜いんだ、俺は。
こんな醜い感情を抱いているなんて、アントーニョに知られるわけにはいかない。
だからいつか、その時がきたら俺は、アントーニョから離れないといけない。
アントーニョの選んだ人なら、きっといい人なんだろうと思う。
俺は、アントーニョには幸せになって欲しいから。
それだけは、本当だから。その時がきたら心から祝いたい。

「おめでとう」
「いままでありがとう」
そして「さよなら」と。
上手に言えるように、そして、一人でもやっていけるようにならなくては。
怖くても、辛くても、悲しくてもいつまでも優しいアントーニョに、甘えていてはいけない。
その時が来てしまう前に、早く。

俺は、大人にならないといけないんだ。


 

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