平行して書いているというもう一つの方の話ですが、
もしも『歌姫』の親分が一国の王子様で、
もしも男娼時代のロマと会っていたら…というIFストーリー
もしもを妄想して滾った結果、書きたくなってしまったんです。
まぁ妄想しているうちに男娼ロマだったものが男娼で歌姫なロマに変化したんですが…
お前どんだけ『歌姫』設定好きやねんて突っ込みはお手柔らかにお願いします;
というわけで以下『歌姫IFストーリー:専属歌姫』妄想。
あらすじはこんな感じです。↓
会員制高級クラブ『ラ・トマティーナ』の
人気歌姫ロヴィーノは舞台を見ていた貴族風の若い男に声をかけられ、一夜を共にする。
しかしその男は実はある国の時期国王で…!?
王宮で繰り広げらるラブロマンス!(笑)萌える!と思ってくださった方は続きからどうぞ
宝石を散りばめたような星空に美しい月が輝く夜のこと。
今宵、我が城では周辺諸国から招いた王侯貴族たちをもてなす宴が催されていた。
煌びやかな広間で城のシェフたちが腕を振るった見た目も味も素晴らしい料理や
国中から選りすぐった酒を振る舞い、王室お抱えのオーケストラの生演奏、
マジシャンなどによるパフォーマンスで会場を沸かせ、盛り上がっていた。
そんな宴も終盤、最後に隠し玉を登場させるべく、アントーニョは臣下にひっそりと耳打ちした。
「ロヴィーノ呼んで」
頷いた彼は進行役に告げ、ついに控えていたロヴィーノが舞台に上がった。
今日はエメラルドグリーンのマーメイドラインのドレスで
上半身から腰までぴったりとしていてるが裾はふんわりと広がり、
白いレースがまるで波のように歩くたびに揺れるのが可愛らしいく、清楚だ。
ロヴィーノは恭しく一礼して見せ(ローデリヒの教育の賜物だろう)
ピアノの音に合わせ、唄い始めた。
次期国王であるアントーニョ専属の歌姫、ロヴィーノとの出会いは
とある会員制のクラブ『ラ・トマティーナ』でだった。
昔はよく来ていたのだが、王位継承やなにやらで忙しくて久しく来ていなかった店で
お目付け役を撒いて一人酒を楽しんでいたのだが、ステージで歌うロヴィーノを見て
文字通り心を奪われたのだ。
高すぎず、低すぎず耳に心地よい歌声で愛を唄うロヴィーノの綺麗なオリーブの瞳と
ふと目が合い、微笑まれた瞬間身体に走った衝撃は今も覚えている。
もっと声が聞きたい、話がしたい、彼女(その時は女の子だと思っていた)のことが知りたい。
衝動に居ても立ってもいられず、ロヴィーノがステージを降り、
控え室に戻るところで声をかけた。
「今夜、俺に付き合ってくれへん?」
どこのナンパ男だという台詞にしまった、もっと何か違う言い方をすれば良かったか、と
早速後悔し始めた俺に、ロヴィーノは表情一つ変えずに言った。
「いくら出す?」…と。
呆気にとられる俺に構わずロヴィーノは先程の憂いを帯びた儚い見た目と
美しい歌声を紡ぐ唇からは想像もつかない、
まるで冷たい氷のような刺々しい口調でもって、続けた。
「セックス1回につき十万、3回までなら付き合ってやる。それ以上は別料金な。
金ないヤツお断りだからな。あと、痛いの嫌いだからそういうプレイしたいなら他当たれ」
そう言い放った彼女は、いや彼は男娼だったのだ。
このクラブの裏手の娼館で働いているのだが、こっちのクラブで歌うもう一人の歌い手と
仲が良く、以前彼女の代わりに歌ったところ、評判がよく、以来週に1回ラ・トマティーナでも
働いていたのだということを後から知ったのだが、
その時は見た目とのギャップに驚きすぎて、正直落胆した。
天使だ、妖精だと謳われる歌姫が、なんだ、こんな子だったのかと。
何も言えないでいると、ロヴィーノは払うのか、払わないのかと返事を急かし、
それでも黙ったままの俺に用がないなら呼び止めるなと吐き捨て、
踵を返して歩き出したロヴィーノの腕を俺は咄嗟に掴んでいた。
落胆する心とは裏腹に、身体が勝手に動いていた。
(だって、なんか背中が寂しそうやったんやもん…)
持ち合わせた現金は先程酒に変えてしまったので、少ない。
だけど、このまま手を離す気にはならなくて、咄嗟に言った。
「現金でなくてもえぇ?」
「…物々交換か。モノによるな」
立ち止まってこちらに向き直ったロヴィーノに一先ず安堵し、
胸元のロザリオを外して彼の手のひらにのせた。
それを指でつまみ、空に翳してしげしげと眺めた彼は『悪くないな』と呟いた。
気に入ってもらえたことが嬉しく、次は耳につけていたルビーのピアスを外して渡した。
「足りへん…?」
「…まぁ、1回くらいなら付き合ってやる」
そうして、彼の時間を手に入れた俺は、彼を連れて泊まっていた帝国ホテルの
ロイヤルスイートに彼を招きいれ、ワインをご馳走した。
(帝国ホテルのロイヤルスイートにかなり驚いていたが、
ロヴィーノは俺が何者なのかということは一切聞かなかった)
呑みながら他愛も無い話をした。ロヴィーノは俺のボケに鋭くツッコミを入れてくれたり、
テンポ良く会話が弾み、飽きなくて、とても楽しかった。
ふいにからかうようにキスされて、慣れた仕草にもやもやしてムっと唇を引き結ぶと
『何拗ねてんだよ』と子供みたいだと笑われた。
楽しそうに笑うロヴィーノは年相応で飾らないその笑顔に心を揺さ振られ、
もっと、ロヴィーノと一緒に居たくなった。
今夜だけだなんて、嫌だと強く思った。こんなことは初めてだった。
そうしてふと会話が途切れた。不思議と嫌な沈黙ではなかった。
むしろ心地良くて、無理に話題を探さずそのままでいた。
そんな時に、ロヴィーノはなぁ、と切り出した。
「何で、俺に声をかけた?」
男娼だなんて知らなかったのだろう。ならば何故、とロヴィーノは問うた。
何故、と聞かれてもあの時の衝動を言葉にするのは難しかった。
一目惚れしたから、などとありきたりな口説き文句は口には出来ない。
そんなものは鼻で笑われてしまうに違いないからだ。
例えば本当に一目惚れだとしても。
迷った末に、ロヴィーノの声が好きだという話をした。
歌声が心地よくてもっと声を聴きたくなった。でも。
「良い声やけど、なんか無性に寂しそうで、泣きそうな声に聞こえたから」
だから気になったのだと言った。嘘ではない。そう思ったのは本当だった。
何だそれ、と笑われるだろうかと思っていたのに、
予想に反してロヴィーノは何かを言いたげに唇を戦慄かせ、でも
何かを口にする前に瞳から涙をひとつ零した。
その雫が意味するのが何か分からず、けれど衝動的にロヴィーノの唇を奪っていた。
ロヴィーノは嫌がることなく受け入れ、瞳を閉じた。
彼の涙を止めたくて口付けたのに、いつの間にか深くなり、そしてそのまま身体を重ねていた。
そんなつもりじゃなかった、といえば嘘になるだろう。
多分、俺は心のどこかで彼を抱きたいと思っていた。
でも、今日彼を誘ったのは純粋に話がしたかっただけ。
ただ、それだけで良かったのだ。――――――彼の涙を、見るまでは。
好きだの、愛してるだの行為の最中に囁き気分を高めるための言葉は一切口にしなかった。
ロヴィーノだってそんなものはいらないと思っていただろう。
代わりに『ロヴィーノ、』と彼の名を呼んだ。
その声に答えるように抱きついてくるロヴィーノが、愛おしかった。
愛しい、と思った。
翌日目が覚めると、ロヴィーノの姿は無かった。
ベッドの横のサイドテーブルには彼にあげたはずのロザリオとピアスが片方だけ
紙の上に置かれていた。
紙には『楽しかった、ありがとう。夜遊びもほどほどにしろよ、王子様』と
走り書きされていた。この時初めて彼は自分の正体に気付いていたのだと知った。
驚いたが、彼は察しがいいから当然か。
国営の最上級ホテルの最上階ロイヤルスイートに泊まれる身分の人間なんて限られている。
でも、気付いていたなら、知っていたのなら何故あげたものを返してくるのだ。
あの手の人間ならもっと良いものを強請ったりしてきそうなものなのに。
それなのに、彼は。ピアスの片方だけしか持って出て行かなかった。
(片方だけでも百万はするものであるが、これは彼にあげたものだ)
他に盗られたものなんてないのは確かめずとも分かっていた。
本当に、彼は一夜だけの夢を見せて、痕跡さえ残さず去られてしまった。
ベッドの上で一人残される焦燥感は、耐え難かった。
そして、彼を自分のものにすることを決意した。
逃げられると追いたくなるのが男と言うもので、一度城に帰って溜まった仕事を片付けると、
俺は今度こそしっかり捕まえるためにロヴィーノの弟であるフェリシアーノを盾にとり、
彼を城に連れ帰ることに成功した。
もちろん、恨まれることを覚悟の上だった。
卑怯者と罵られても、ロヴィーノを自分のモノにしたかったのだ。
最初の頃は随分と嫌がれ、口汚く罵られ頭突きを食らわされるなんてのは
日常茶飯事で、気性の荒いネコのような彼に手を焼いた。
(あの一夜のしおらしさが嘘のようだったが自業自得だから仕方ない)
それでも、最早手放すつもりは毛頭なかった。
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続きはそのうちぴくしぶにでも上げます。
Yさんリクエストのえろえろ西ロマ、自分にはハードル高すぎる…っ!
こんなパラレルは嫌だと思ったら携帯からでも連絡お願いします(笑)