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3周年記念のあと一つがどうも煮詰まってしまったので
気晴らしに書いてます。…一応続きます。
いつもの低クオリティ駄文でよろしければお付き合いください。



たまには親分からロマにやじるし飛ばす話を…。

+ + + + + + + + + +

彼を好きだと思った時から、いやそれ以前からもずっと
たくさんの愛情を注いできたつもりだったし、きっとこれからだってそうするだろう。
けれど、俺は知っていた。
必ずしも注いだ分だけ相手も返してくれるわけではないことを。
知っていた。

知っていたんだ。


【このドアを開けたら、】


ロヴィーノがこの俺から独立するというその日。
俺の家から出て行くロヴィーノを俺は玄関の前で見送っていた。
独立したらきっと今までのように毎日会うことは出来なくなってしまうだろう。
だから、俺は『じゃあな』と背を向けそうなロヴィーノの手を掴んで言ったんだ。

「今度会うたら口説くからな!…覚悟しといて」

驚いて目を見開いているロヴィーノにへらりと笑うとその手を離した。

「ほな、フェリちゃんによろしくな」
「――――――」

ロヴィーノはそのまま何も言わずにくるりと踵を返して去って行った。
その時のロヴィーノが一体どんなことを考えて、
どんな顔をしていたのかなんて、俺には分からない。
ただ俺はその背中が見えなくなるまで見送った。

そして、次に会った時から宣言どおり俺はロヴィーノを口説くようになった。
ロヴィーノは嫌がるでもなく、突き放すこともなく、
ただいつもどおりの、今までと変わらない態度を取り続けた。

「オーラ、ロヴィーノ昼飯食べた?」

久しぶりの休日にローマにあるフェリシアーノとロヴィーノの家を訪ねると
そこにロヴィーノの姿はなく、フェリシアーノに尋ねれば
ナポリにあるロヴィーノの仕事部屋として借りているアパートにいるのではないかと
教えてもらい、こうして途中市場で買い物をしながら訪ねてきた。
ドアを開けたロヴィーノは一瞬驚いた顔をしたものの、そのままくるりと背を向け
部屋の中へと戻っていった。
ドアを閉じられなかった、ということは上がっても構わないということだろう。
そう解釈して部屋に上がりこんで二人分の昼食を作ることにした。

ロヴィーノはキッチンで料理を始めた俺を特に何も気にすることなく、
むしろ興味もないようで、ソファにごろりと寝転がると携帯を弄ったり
雑誌を読んだり、時々かかってきた電話に応答している。
内容から察するに、多分女の子だろう。
今度は一体どこのベッラをナンパしたのだろう。
かかってきた電話に笑顔で答え、談笑し、時々甘いセリフを吐いて
『じゃあまた』と言って通話を終了させる。

メールや電話の相手が気にならないわけじゃないが、
俺のことをロヴィーノは拒まないから。
だから、まだ俺はロヴィーノを『口説く』ことはやめない。

(ちゅーか、これ…諦めたらそこで終了やん?)


「ロヴィーノ、出来たで~食べよ?」

ダイニングテーブルの上にロヴィーノの好きなトマトパスタを並べ
ソファから立ち上がってやってきたロヴィーノが椅子に座ると
フォークを差し出した。
ロヴィーノはそれを黙って受け取ると、パスタを絡ませた。
その様子を見ながら小さく笑うと、自分も席に着いた。

食事の最中もロヴィーノは携帯を離さない。
時折開いては何かを打ち込んだり、眺めている。
せめて食事の時くらい、目の前に居る自分の方を向いて欲しくて
あれこれ話しかけてみるのに、ロヴィーノは生返事ばかりで
携帯にすら…いや、見えない相手に嫉妬する。
今メールしてる相手の方が俺よりも大事なん?
そんなんより、俺の相手してや。
そう叫びたいのを必死に押さえ込み、『ロヴィ、メールはご飯食べ終わってからにし』
なんて、まるで親のようなことしか言えないのだった。

ロヴィーノは変わらない。
俺がどんなに好きだと言っても、それを返すことはない。
ただ黙ってそれを受け流し、拒否もしないし突き放すこともない。
いつかは応えてくれるだろうか。
そんな期待を抱いてしまう。
いっそはっきり言ってくれればいいのに。
いつものように『嫌い』だと。
まぁそれで諦めるわけもないのだが、それでも。
今のこんな生殺し状態から少し抜け出せるような気がするのに。
あぁ、いや…ロヴィーノを責めるのはだめだ。
俺が勝手にしてることで、ロヴィーノは…――――――。


食べ終わった食器を片付けてロヴィーノに食後のコーヒーを淹れると
鞄を提げて玄関に向かった。
今日はどうも良くない方向に思考が傾いている。
これではいつかロヴィーノを傷つけてしまう。
少し頭を冷やそう。


「…帰るのか?」

玄関に立つ俺の背に、ロヴィーノの声がかかる。
ひとつ間を置いて振り返ると笑った。

「うん、…――――――ロヴィーノ邪魔してごめんなぁ」
「――――――」
「ほんまは一緒に居りたいねんけど…」

ロヴィーノの唇が何かを言おうとして、でもそれは音になることはなかった。
きゅっと再び結ばれた唇。
それが、無性に寂しかった。

「…妬けるわぁ。一緒におるのは俺やのに、ロヴィーノはずっと
携帯弄って誰かと話したり、メールしたり。俺のことはちっとも見てくれへんのに。
――――――責めてるみたいになってもうた。ごめんな。
…俺、ロヴィーノのこと好きやけど、今地味に凹んどるみたい。
ちょっと暫く、――――――ロヴィーノと距離置かせて。

ごめんな」

 

俺は最後に精一杯優しく笑うとロヴィーノの頭を一度撫ぜ、
部屋のドアを開けて外へと出た。

そして、そのドアを閉じた。

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西ロマ早く結婚しろ!が口癖。現在APHにドップリ嵌っています。ロマーノは俺の嫁。
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